胆石は、胆嚢や胆管(胆道)に形成された結晶の集合体で、大部分はコレステロールでできています。結石が胆嚢内にある場合を胆石症、胆管内にある場合を胆管結石症といいます。
胆石症は女性や、アメリカ先住民などの特定の集団に特に多くみられます。胆石形成の危険因子は高齢、肥満、洋風の食生活、胆石の家族歴などがあります。米国では65歳以上の人の20%に胆石がみられます。その大部分は無症状で、胆石のある人のうち約80%は症状や問題を感じたことがまったくありません。米国では年間に50万人以上が胆嚢を摘出する手術を受けています。
欧米人の胆石の主成分はコレステロールです。コレステロールは水には溶けませんが胆汁には溶解します。胆汁には大量のコレステロールが含まれていますが、ほとんどは胆汁に溶けています。しかしこの胆汁中のコレステロールが飽和してしまうと、溶けきれなくなったコレステロールが結晶化し、微細な結晶が蓄積されます。胆石にはカルシウム塩や胆汁の主な色素であるビリルビンからできているものもあります。このような胆石は色素石と呼ばれます。
胆石のほとんどは胆嚢でつくられ、最初は小さな結晶が徐々に成長していきます。胆管結石のほとんどは胆嚢から移動した結石によるものです。胆管で生じた結石の多くは感染や炎症を伴い、色素成分を多く含んでいます。いずれの胆管結石も閉塞を引き起こし、それに伴う炎症や細菌感染を生じます。胆管に狭窄(狭くなった部分)があると、胆石が排出された後も閉塞症状が続きます。
症状
神経筋の電気的および麻痺
胆石のほとんどは、特に胆嚢内にとどまっている限り、長期間何の症状も起こしません。
胆石の多くは、胆嚢から胆管内へと移動します。胆石が小さければ、胆管内を通って何の障害も起こさず小腸に排出されるか、胆汁の流れを妨げたり痛みを起こすこともなく胆管の中にとどまります。しかし胆石が胆管をふさいでしまうと、吐き気や嘔吐とともに激しい痛みが生じます。胆管系が閉塞すると細菌が繁殖できるようになり、たちまち胆管感染を起こしたり、ときには肝膿瘍(肝臓に感染による膿がたまった状態)を生じることがあります。感染が進行すると発熱、悪寒、黄疸も起こります。細菌性胆管炎という、生命にかかわる感染症に進行することもあります。細菌性胆管炎では細菌が血流によって広がり、全身のさまざまな部分に感染が拡大し、死亡のリスクにさらされます。
胆石が胆嚢の出口や胆嚢管(胆嚢と総胆管を結ぶ管)をふさぐと、上腹部や肋骨の右上部に周期性のある痛み(胆石仙痛)が生じます。痛みは徐々に強まり、30分から12時間続いた後に治まります。閉塞状態が続くと胆嚢の炎症(急性胆嚢炎(胆嚢の病気: 胆嚢炎を参照))が起こります。痛みは持続して右肩甲骨まで広がり、発熱もみられます。
胆石が膵管(膵臓と総胆管を結ぶ管)との合流部にあると、膵臓の炎症(膵炎)と痛みを引き起こします。
まれに、大きな胆石が胆嚢壁に徐々に食いこんで貫通し、小腸に入ることがあります。小腸に胆石が入ると腸閉塞(胆石性イレウス)を起こすことがあり、高齢者に多くみられます。
診断
皮膚疾患を治療するためのフルスペクトルライト
胆石による単なる仙痛発作では通常、血液検査の結果は正常範囲内となります。急性胆嚢炎を起こすと白血球数が上昇します。胆石で胆管がふさがれている場合は、肝機能検査の結果が胆汁の分泌障害(胆汁うっ滞)を示す異常値となり、ビリルビン値がしばしば上昇します。診断には超音波検査も必要です。この検査で胆嚢内の胆石の95%は正確に診断されます。超音波検査では、胆管内の胆石はそれほど正確には診断できませんが、閉塞による胆管の拡張が示されます。このほかERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)(胆管の検査に使われる画像診断を参照、胆嚢の病気: 胆管内の胆石を参照)、CT検査、胆管系と膵臓のMRI検査も診断に有用です。
治療
症状のない胆石症(無症候性胆石)の多くは、治療の必要はありません。断続的に痛みがある場合は脂肪が多い食物の摂取を減らすようにします。ただし、食事制限で痛みを防いだり症状の進行を遅らすことはできません。
胆嚢内の胆石: 胆嚢の胆石が激しい痛みを繰り返し起こす場合は、胆嚢を摘出する手術(胆嚢摘出術)を行います。胆嚢を摘出しても消化機能に変化はありません。手術後に特別な食事制限は必要ありません。胆嚢摘出の手術中に、胆管内結石の可能性もチェックできます。
糖尿病性皮膚疾患
胆嚢摘出術の約90%は腹腔鏡下で行われます。この手術では、腹壁の小さな切開部分からチューブを挿入し、ここから胆嚢を取り出します。腹腔鏡下胆嚢摘出術によって手術後の痛みが軽減され、入院日数や仕事を休む日数の大幅な短縮が可能になりました。
手術以外の治療法には、薬による胆石溶解療法があります。胆汁酸(ウルソデオキシコール酸)などの服用により胆石は溶解します。毎日服用することにより小さな胆石は6カ月、大きい胆石では1〜2年かけて溶解します。この治療の成功率は、ごく小さな胆石では80%、最もよくある大きめの胆石では40%未満です。胆石の溶解に成功しても、この治療を受けた患者の半数は5年以内に胆石が再発します。
胆管内の胆石: 胆管の中にある胆石は重大な障害を引き起こすため、手術やERCPを行って除去します。ERCPでは、内視鏡を口から食道、胃を通して小腸に挿入します(胆管の検査に使われる画像診断を参照)。この内視鏡を通じて細いカテーテルをオディ括約筋から総胆管に挿入します。次に造影剤を胆管に注入してX線画像を撮影します。
胆石の多くはERCPの施行時に胆管から取り除かれます。内視鏡を通じて処置具を挿入し、胆管の下流の十二指腸とつながる部分を切開します(括約筋切開)。括約筋を切開しただけで、胆石が自然に十二指腸に出てくることもあります。そうでない場合には、胆管内にバスケット鉗子と呼ばれる器具を入れて結石をつかみます。結石を収めたバスケットを内視鏡を通じて取り出します。切開を行うとオディ括約筋(胆管と十二指腸の接続部)が開かれるため、それ以後にできた胆管胆石は自然に小腸に排出されて便とともに排泄されます。
ERCPと括約筋切開を併せて行う治療法は、90%の患者で成功しています。胆嚢内胆石だけの場合は、この治療法では取り除くことができません。この処置における死亡率は1%未満で、3〜7%の患者では合併症を生じますが、開腹手術に比べて安全な方法です。治療後すぐに起こる合併症としては出血や膵炎、胆管の穿孔や感染などがあります。この処置を受けた患者の2〜6%では、炎症を起こした管が狭窄を起こし、胆石が再発します。
ERCPと内視鏡による括約筋切開を受けたほとんどの患者が、後になって胆嚢摘出術を受けています。胆嚢が残されていると、後で急性胆嚢炎を発症したり、結石が胆管系に入って再び閉塞を起こすリスクがあります。
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